マジックの楽しみ

マジックは面白い?むずかしい?かっこいい?

いままでマジックをやったことのない方に贈るマジックの楽しみあれこれ。

見る楽しみ

マジックは、何千年の歴史がある娯楽です。王侯貴族のためのエンタティナーから大道芸人まで、多くのマジシャンが世界中至るところで老若男女を楽しませてきました。

逆にいえば、人はいつもマジックを見たいと思ってきました。不思議なものへの興味、好奇心は、どの時代、どんな人でも持っており、うまく演じられるマジックは第一級の娯楽です。

人から伝え聞く不思議な出来事ではなく、自分の目で確かめるマジックの不思議さは、まさに体感といってよい心地よさがあります。

さて、マジックはどこへ行ったら見られるでしょう。本格的なマジックショーは、テレビでの放映や、実際のイベントを待つよりありませんが、日常的にマジックが見られる場所もあります。

テンヨーのマジック・コーナー

デパート、玩具店のマジック・コーナーで、いつも専門のスタッフが実演をしています。マジックを販売するだけでなく、マジックを見せて楽しんでもらうことを心がけておりますので、お気軽にお立ち寄りください。

マジックの発表会・コンベンション

国内や海外でいろいろなマジックの大会が行われています。そんな会に出て、多くのマジシャンの演技を見ることは、大変勉強になります。

テンヨーでも毎年1回、マジックフェスティバルを開催して、アマチュアやプロの方々の演技、あるいは海外のマジシャンの演技をご覧いただいております。最新情報の欄でもいろいろなイベントをご紹介しますので、参考にしてください。

マジックが見られるレストランやバー

食事やお酒を提供しながら、エンタテイメントとしてマジックをとりいれているところもあります。一般的にはマジックの演技そのものには料金をとらないいころが多いようです。

マジックを見て、ほんとうに楽しければ、惜しみなく拍手をしてください。お客様が喜んで見てくれれば、マジシャンもより素晴らしい演技ができます。

テンヨーのマジックコーナーでは、いつも専門のデモンストレーターが実演をしています。

見せる楽しみ

マジックは本格的なものになると何年もの練習が必要なむずかしいものもありますし、やさしいものであれば、覚えてすぐできるものもあります。

あなたのそばに適切なマジックの先生がいれば、どのような形ででもマジックを覚えることができますが、そのような人がいない一般的なケースでは、マジック・コーナーで売っている道具を買ってきて、それを人に見せることから始めることになります。

実際、プロ・アマを問わず、多くのマジシャンが、そのような形でマジックを始めたといってよいでしょう。

テンヨーでは、毎年マジックの新製品を発表しますが、その基本となるコンセプトは、"初めての人でもすぐにマスターできるもの、それでいて、その不思議さは専門家をも驚かすもの"ということです。

ほとんどの製品が、経験者の方にも十分楽しんでいただける内容でありながら、初めての人に、マジックを見せる面白さを体験してもらおうとして開発されたものです。

さて、マジックを人に見せる楽しみは、そのジャンルによってかなり異なります。おおまかに分けて、次の3通りになります。

  • ステージマジック
  • パーティーマジック
  • クロースアップ・マジック

ステージマジック

舞台で見せるマジックは、スポットライトを一身に浴び、何百人、何千人の観客を相手に演技することになります。

アマチュアの方には、あまり機会がないかも知れませんが、会場の割れんばかりの拍手をもらう楽しみを味わうと、一生やみつきになるといっていいでしょう。アマチュアの会に所属して、発表会などに参加すれば、そんなチャンスも得られます。

三越劇場での、ゆみさんの華麗な演技(第41回テンヨーマジックフェスティバルより)

パーティーマジック

ステージマジックよりは小規模で10〜 100人くらいに見せる場合です。アマチュアにとって、いちばん機会が多いのが結婚式の披露宴でしょう。歌などに比べ、マジックがパーティーで行われることは少ないので、うまく演じれば出席された方に強い印象を残すことができます。いくつかのパーティーマジックをマスターしておけば、宴会、子供会など、色々なところで生かすチャンスがあります。音楽に合わせて、ほぼステージマジックに近い見せ方もできますし、おしゃべりをしながら見せることもできます。

マジックはパーティーを盛り上げる

クロースアップマジック

小人数を相手に目の前で見せるマジックで、テーブルマジックともいわれます。もちろんプロの方もいらっしやいますが、アマチュアの独壇場といってよいジャンルです。

その長所は、種類が多いこと(カードマジックだけでも数千種類はあるでしょう)、手軽に見せられること、身近な人を誰でも観客にしてしまえることなどです。いくつかの優れたクロースアップ・マジックをマスターしておくことは、生涯の宝といってもいいかも知れません。

舞台で見せるマジックは、多くの場合テレビで見たりすることも多いのですが、クロースアップマジックは、そのような機会は少なく、あなたが演じると、「こんな近くで見てもわからない!」という言葉をよく耳にするでしょう。初めて会った方に見せて、あなたを印象付けることもできますし、外国へいったときなど、言葉は通じなくてもマジックによって友達を作るということも可能です。

マジックはコミュニケーションの道具

クロースアップマジックは、状況によって、適切なマジックを使い分けると、より効果的です。そんな例をご紹介しましょう。

バーで見せるマジック

"お酒を飲む場所"というのは、プロ・アマを問わず多くのクロースアップ・マジシャンの活躍の場です。いくつかのレパートリーを用意しておきましょう。日用品を使うものでポケットに入るもの、現象がはっきりしているものがベストです。

デートで見せるマジック

男性の場合、「マジックができると、もてるでしょう」というのは、よく聞かれる言葉です。これは別にマジックに限らず、エンタテイメントとして相手を楽しませることができるなら、好感を持たれるでしょうし、楽しめないような見せ方をするならば、逆効果ともいえます。

マジックをうまく見せた場合、緊張を緩和することは確かですので、"Break the Ice"(氷を解かす−緊張をほぐす)という効果は、どんなときも期待できます。お医者さんや教師の方など、初対面の子供たちを相手にすることが多い方も、そんなマジックの使い方が役に立つ人たちです。

マジックはエンタテイメントです。まず何よりも相手を楽しませることを心がけてください。不思議さだけを売り込むのではなく、楽しいひとときを過ごしてもらうのだ、という気持ちで見せてください。

あなたが本当に楽しいマジックを見せることができれば、その人は、マジックとともにあなたのことをずっと覚えていてくれることでしょう。

練習する楽しみ

テンヨーの多くの製品のように、練習のほとんどいらないマジックというものもありますが、どんなマジックでも練習すればするほど、より上手に見せられるようになります。指先を使うマジックでは、それこそピアニストのように毎日の訓練が必要なものもあります。

そして、最初はとてもできないと思っていたテクニックが、少しずつできるようになっていくときの達成感は大きな喜びです。また、指先の練習だけでなく、クロースアップマジックであれば、おしゃべりの練習、ステージマジックであれば、舞台での歩き方の練習などもあります。

そして、そういった練習というのは、それ自体が楽しみであり、マジックの腕前だけにとどまらず、あなたを高めてくれるものでもあります。マジックを通して、人前でのおしゃべりが上手になったという方も大勢いらっしゃいます。

「マジシャンとは魔術師の役割を演ずる俳優のことである」という、有名な言葉がありますが、マジックの練習というのは、結局のところ、魅力的なマジシャンになることを練習することなのです。

2000年・世界マジック大会のマニピュレーション部門(指先を使うマジック)で第1位となった峯村健二さん。

集める楽しみ

マジックの道具は世界中にある何百というマジックショップが、それぞれの製品を扱っています。

アメリカのマジックショップのカタログには300ページを超えるものもあります。あらゆるマジックの道具を集めようとすると、費用も置き場所も大変なものになってしまうので、ある程度テーマを絞った方がよいかも知れません。

この楽しみの中でも最大のものは、人の持っていないもの、簡単には手に入らないものを、誰よりも早く手に入れることでしょう。また、昔の有名なプロが使っていた道具を集めるといったコレクターの方もいらっしゃいます。

マジックの道具はもとより、ビデオは3000本近くのコレクションを誇るアマチュア・マジシャンの蓮井彰さん(静岡市在住)

研究する楽しみ

ひとつのマジックがあるクリエーターから生れ、そのアイデアが別のマジシャンによって、さらに工夫が加えられ、どんどん発展していく。そんな歴史的な流れを見るだけでも、人間の発想の素晴らしさ、限りないアイデアへの挑戦ということをかいま見ることができます。

多くの文献を読みあさり、マジックを系統だてて研究することは、それ自体、興味のつきない楽しみです。最終的には、より多くの情報、最新の情報を手に入れるため、英語で欧米のマジック雑誌や出版物を読むことが必要になってくるでしょう。

目の前で見せるマジックから舞台用の大道具まで、1000種類以上のマジックを網羅したターベルコース・イン・マジック全8巻。

タネを推理する楽しみ

これはいってみれば、推理小説の犯人あてに近い楽しみです。実際の演技を見て推理することもありますし、マジックショップのカタログなどを読んで、その現象からタネを推理することもできます。

カタログを作る側からいうと、いかにそのマジックの効果を素晴らしく表現するかということと、タネをいかに推理されないようにするかということを意識して書いてます。したがって、読み手の側は、そのことを前提にタネを推理していくことになります。

ある程度マジックの知識がついてくると、マジックを見ながらタネが推理できるようになります。そしてタネが分かるようになればなるほど、新しいトリックでだまされるときの快感も増えていきます。

注意しなければならないのは、マジシャンが演技をしているときに、露骨にタネを推理することはマナー違反だということです。見ているときは、あくまで不思議さを楽しみながら、頭の中だけで、あるいは演技の後で推理をするようにしてください。

実際、マジックを見ている途中にあまりタネのことを考えすぎると、かえってタネがわからなくなります。見ているときは現象だけを素直に楽しみ、あとからタネのことを考えた方が、うまく正解にたどりつくことが多いようです。演技中にタネを指摘することは、それがあっていようといまいと、一緒に見ている他の人の楽しみを奪うことにもなります。

まずは楽しんで見ることを心がけてください。

マジックのカタログを読みながらタネを推理することは、推理小説を読むことにも似た楽しみが…

マジックファンとつきあう楽しみ

すべての他の趣味と同様、同じ趣味の人同士集まって話をするというのは、最大の楽しみです。

日本各地、あるいは世界中に色々なマジック・クラブがあり、例会を開いては、マジックの講習会、研究会、発表会などを行っています。世界的な組織が主催するコンベンションともなれば、1週間にも渡ってマジック好きな人との交流が図れます。

マジックのおかげで、ふだんならぜったい会うこともできないような人と知り合ったり、友人になったりするのは、趣味を越えた贅沢な楽しみといえるでしょう。またインターネットやパソコン通信でも、そのような趣味の方と出会い、チャットを楽しむこもできます。

マジックの会合には、いろいろな人との出会いがあります。推理作家として著名な泡坂妻夫さん(左端、本名厚川昌男さん)も大のマジックファンで、ご自分でも数多くのマジックを創作しています。

新しいマジックを考える楽しみ

マジックを見せるときの快感の、最大のものをあげるとすると、ステージでの大拍手、そしてクロースアップでの大喚声といえるでしょう。

しかし、それにもうひとつつけ加えるとすれば、新しいマジックをあなたが考案して、それを知識豊富なマニアに見せて、不思議がらせてみせることでしょう。そこまでいかなくても、自分で考案したマジックを自分で演じてみせるというだけでも、その楽しさは格別です。

ただし、マジックの世界はたいへん奥が深く、長い歴史があるので、創作できるレベルに達するにはかなりの知識と経験が必要になります。いくら自分が考えたと思っても、すでに別の人が考えていたのであればその創作は意味がありません。これまでに存在するマジックに対してかなりの情報を把握しておくことも必要です。

マジックの創作にもいろいろあります。トリックそのものを作り出すことは、いわば発明の一種といってよく、テンヨーの製品の多くは、この種の創作に近いものです。

しかし、トリック以外にも、演出上、演技上の創作といったものもあります。従来からある現象でも、演出を変えるだけで、まるで違うマジックに生れ変わることがありますし、1枚のトランプを空中から出すだけにしても、その指のしぐさ、衣装や音楽とのコンビネーションによって、まるで違う世界を描き出すことが可能です。

トリックと、それをとりまくすべての要素がからまって、マジックは初めて真のエンタテイメントになるのです。

製品紹介のコーナーでは、テンヨーのスタッフがどのようなきっかけで、そのマジックを考案するに至ったかということも紹介していますので、参考にしてください。

“プロフェッサー”と呼ばれ、数多くの傑作を残した故ダイ・ヴァーノン氏。

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